4-Octyl Itaconate

4-Octyl Itaconate（4-OI）は、細胞透過性のイタコン酸誘導体である。イタコン酸と4-Octyl Itaconateはスルフヒドリル反応性が似ており、4-Octyl Itaconateがその生物学的機能を研究するのに適したイタコン酸代用品である。報告によると、4-Octyl Itaconateはケルチュラ様ECH関連タンパク質1（KEAP1）上のシステイン残基をアルキル化し、それが核因子（赤血球由来2）-関連因子2（Nrf2）を活性化し、それによって抗酸化作用と抗炎症作用を発揮する。4-Octyl Itaconateは、酸化ストレスの減少とリポ多糖（LPS）に対するマクロファージの免疫応答の修飾することにより、虚血再灌流障害、骨吸収細胞関連疾患、腎線維症などの様々な疾患の進行を食い止める可能性がある。

4-Octyl Itaconateの抑制効果は、単純ヘルペスウイルス1型および2型、ウイルスニアウイルス、ザイカウイルスなど、他のいくつかの病原性ウイルスの複製にも及び、そのメカニズムはI型インターフェロン（IFN）とは独立した経路である。さらに、4-Octyl Itaconateは宿主のSARS-CoV-2感染に対する炎症反応を制限する。

SARS-CoV-2感染前に、Vero細胞を4-Octyl Itaconateで処理すると、SARS-CoV-2 RNAレベルが用量依存的に102～104倍減少することが確認され、細胞生存率に影響を与えないことが乳酸脱水素酵素（LDH）放出実験により確認された。4-Octyl Itaconateの抗ウイルス効果は、肺癌細胞系Calu-3でも実証され、SARS-CoV-2 RNAレベルが2ログ以上減少し、ウイルス発育量が6ログ以上減少した。4-Octyl Itaconateは、ヒト由来の気道上皮（HAE）培養物においてもSARS-CoV-2に対して顕著な効果を示し、治療後のウイルスRNAレベルが顕著に低下した。また、4-Octyl Itaconateの抗ウイルス効果は、異なるSARS-CoV-2分離株を用いて再現された。

LPS（5 mg/kg）注射の2時間前に、57BL/6Jマウスまたは対照群マウスに4-Octyl Itaconate（50 mg/kg）を投与した。その結果、4-Octyl Itaconate投与は、生存率を顕著に延長し、LPS誘発によるマウス血清中のIL-1β、IL-6、および乳酸のレベルを低下させた。4-Octyl Itaconateは、サイトカインの放出と乳酸生成を抑制することにより、実験的致死性内毒素血症からマウスを部分的に保護した。

References:
[1] Liao, S. T. et al. 4-Octyl itaconate inhibits aerobic glycolysis by targeting GAPDH to exert anti-inflammatory effects. Nat. Commun. 10, 5091, 2019.
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[3] Olagnier, D. et al. SARS-CoV2-mediated suppression of NRF2-signaling reveals potent antiviral and anti-inflammatory activity of 4-octyl-itaconate and dimethyl fumarate. Nat. Commun. 11, 4938, 2020.